内観法とは、「自分を知る」ための方法として開発された自己観察法です。
その歴史は、内観法創始者である故吉本伊信先生が昭和28年奈良県大和郡山市に内観道場を開設したのが始まりで、その後吉本先生が工夫を重ねられ昭和42年頃に今の方法を確立され現在に至っています。
具体的には、父母、祖父母、兄弟、姉妹、配偶者というような身近な人に対する自分の行動を、
1.してもらったこと
2.して返したこと
3.迷惑をかけたこと
という3つの観点で小学校低学年から年代順に具体的なエピソードを思い出し、自分自身のことや身の回りの身近な人々との関係をありのままに見直すのです。
その最終目的を吉本先生は、「どんな境遇になっても喜んで喜んで生きられる精神状態を身につけること」とおっしゃっています。環境や条件に左右されない幸せ、つまり、本当の意味での幸せを手に入れることなのです。
では何故「自分を知る」ことが本当の幸せを手に入れることになるのでしょうか?
それは、人は誰でも生まれながらに本当に幸せになれる潜在能力を備えているからです。しかし残念ながら、ほとんどの人がその能力に気づいていないのが実情です。何故なら私を含めて多くの人は、幼い頃から他人の評価を気にしたり、自分自身の欲望を満たすことに懸命です。そのためにそこで得られた自己像を自分と思ってしまうのです。他人の評価や自己の欲望達成度で決められた自分は本当の自分とは言えません。本当の自分を知るためには、客観的に物事を見る「眼」が必要になります。
内観法は事実をありのままに見る「眼」を養成する方法なのです。前に述べた3つの視点は、物事をありのままに、客観的に見ることが出来るよう工夫がされており、真実を見る「眼」を養成するためのポイントなのです。
内観の深まりと共にだんだん本当の自分に目覚めてくるのです。
内観法には、大きく分けると集中内観と日常内観があります。集中内観は内観法を身につけるために集中的に行うもので、日常内観は日常生活を営みながら一人でする内観です。内観の世界では、日常内観の出来る人を一人前の内観者だと考えています。しかし、日常内観は非常に難しく、集中内観を体験していない人には無理なようです。内観研修所は、日常内観が出来るようになるために集中内観を体験できる学校みたいなものです。
当所では毎週日曜日から土曜日までの一週間、宿泊して集中内観を学びます。この間全ての日常を止め、外部との連絡を一切絶ち、朝5時から夜9時まで、内観の方法に従い静かに自分自身を見つめるのです。
集中内観だけで悩みが解消したり劇的な変化が起こり人生を変えた人も沢山おられます。